それって本当にエコ?
環境意識の高まりとともに、耳なじみの言葉になってきた「有機栽培」と「フェアトレード」。フェアトレード先進国イギリスでは、不況にもかかわらず、フェアトレード製品の売り上げは上昇している。
ところで、その生産現場は本当に持続可能でフェアなものだろうか? Ecologistはバナナの生産現場をリポートした。
「有機栽培」が引き起こす森林破壊
イギリスに供給されている有機栽培、フェアトレードのバナナのうち90%が中米ドミニカ共和国で栽培されている。現在、ドミニカ産バナナの60%が有機栽培の認証を受けており、4分の1がフェアトレードで取引されている。
ドミニカでは、次々に大規模なバナナの有機農園ができているが、その多くが森林を開拓したもの。
有機栽培の認証を受けるには、「2年間化学物質を使っていない土地で栽培されていること」という条件を満たさなければならない。既存の農園を2年間かけて有機農園に変えるより、森林を開墾して新たに農園を開くほうがすぐに有機の認証を受けることができるため、持続可能ではない開墾が続いているのだ。
最貧国から来た労働者を搾取
バナナ農園で働く労働者の90%は、世界の最貧国ハイチからの移民だといわれている。なかには、20~30年間働き続けているものも少なくないが、いまだ不法滞在の立場だ。
日々の賃金では、豆と米を1日に1食とるのがやっと。法的手続きに必要な費用が払えないのだ。そのほとんどがトイレも電気もない小屋で暮らしている。劣悪な労働条件であるものの、だれもが仕事を失うのを恐れ、雇用主と交渉できない。
こうした労働者の立場を改善するには、現在のフェアトレードの基準だけでは不十分であり、現地の状況を考慮した規範づくりが必要だと専門家は指摘する。
Ecologist
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