CO2の地中貯留
九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、東京大学、名古屋大学の研究グループは、地中に貯留したCO2を高精度でモニタリングする手法を開発したことを2015年12月25日に発表した。
国内外でCO2を回収・貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)プロジェクトが行われている。発電所などのCO2排出源で分離・回収したCO2を1,000mの地下深部に貯留することで、大気中に排出されるCO2を削減する技術だ。試算によると、日本周辺に総排出量の約100年分を貯留できる地層がある。
この技術では、貯留層内のCO2が漏えいしていないかをモニタリングする必要があるが、高精度で連続的なモニタリング調査は高価なため難しい点が課題となっている。
アクロスを利用した手法
研究グループが開発した手法は、微小な振動を連続的に発振する装置、アクロス(精密制御定常信号システム、ACROSS)を利用したもの。
アクロスが発振した連続振動を地震計で観測すると、地震波の一種、表面波の伝わる速度変化が1時間ごとにモニタリングされ、突発的なCO2の漏えいなど、地下の変化を早急に検出する。アクロスと地震計の設置のみで行える安価で高い精度の手法となる。
今後、研究グループは、このモニタリング技術を実際のCO2貯留サイトに適用する予定だが、同時に、CO2を貯留する地層に亀裂などの漏えい経路があるかを確認する物理探査手法や、貯留層内のCO2の挙動を予測するモデリング手法の開発も進める考えである。
(画像はプレスリリースより)
九州大学 プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2015/2015_12_25.pdf