太陽光を光熱変換
国立研究開発法人 物質・材料研究機構の研究チームは、2016年1月25日、ナノ粒子を利用して太陽熱で高効率に水を加熱する実験に成功し、これが太陽光熱利用を促進する可能性があると発表した。
太陽光の利用方法には、太陽電池などを活用する発電や吸収した太陽光を光熱変換した給湯などがある。家庭の消費エネルギーは給湯と暖房が半分以上を占め、太陽光を熱に変える活用が注目されている。
太陽光を吸収する集熱パネルや集熱パイプには伝熱ロスを生じるが、ナノ粒子は水などの媒質に分散させて、直接加熱できるようにするため、期待が高まっている。
光熱変換に最適なナノ粒子
今回、研究チームは、太陽光の光熱変換に適したナノ粒子材料を探索し、セラミックスである遷移金属窒化物と遷移金属炭化物が数値的に高い太陽光吸収効率を示すことをつきとめた。
中でも、窒化チタンのナノ粒子は、光照射で電子が集団振動するというプラズモン共鳴を広帯域に示す。実際に、水に分散させて太陽光を照射した結果、光を熱に変換する効率は約9割に達した。
今後、太陽光を利用した水の加熱・蒸留などにこれらのナノ粒子を応用することが考えられる。研究チームはすでに、床暖房や給湯、汚水や海水の蒸留などへの活用を検討している。
(画像はプレスリリースより)
物質・材料研究機構(NIMS)・科学技術振興機構(JST) プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160125/index.html