イネの遺伝子を活用
産業技術総合研究所(以下、産総研)は森林総合研究所と共同で、イネ由来の木質生産を制御する遺伝子を用いて、ポプラの木質を強化する技術を開発したと2016年1月27日に発表した。
バイオエタノールやバイオマテリアルなど、化石燃料の代替となる植物由来の燃料・材料の開発が進んでいる。食糧生産との競合を避けるため、食糧にならない木質を原料とする第二世代の普及が期待される中、植物の成長に悪影響を及ぼさずに木質の生産性を向上させる技術が必要とされている。
今回、開発した技術は、イネの木質生産を制御するOsSWN1転写因子を遺伝子組み換えでポプラに導入するもので、ポプラの成長を阻害することなく、木質生産性を約4割、木材の強度を約6割向上させることに成功した。
他の樹木への適用も
今後は、バイオマス生産を向上させる他の技術、例えば光合成能力の強化などと組み合わせて、生産量の増加を図っていく。
また、ポプラの加工性や糖の抽出量を上げるため、増強された木質に含まれるリグニンの改変などを計画している。新技術をポプラ以外の樹木、ユーカリやアカシアなどに適用することも検討する。
産総研は、2030年頃には木質由来のバイオエタノールの生産性を50%向上することや、木質生産用として世界中で栽培される植物の20%に新技術を導入してCO2の排出量を年間約4,000万トン削減することを目標としている。
(画像はプレスリリースより)
産業技術総合研究所 プレスリリース
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