地下水を汚染する塩素化エチレン類
大成建設株式会社(以下、大成建設)は、2016年4月4日、塩素化エチレン類で汚染された地下水を、ビールの主原料であるホップ成分で浄化する技術を開発したと発表した。
エチレンに塩素を付加して合成した塩素化エチレン類は金属部品の洗浄剤や溶剤に使われていたが、現在は、有機溶剤に含まれる塩素化エチレン類による地下水汚染が顕著になるなど、その有害性から環境規制物質に指定されている。
地下水の汚染浄化には、注入した微生物活性剤で汚染域の脱塩素細菌を活性化する方法を用いるが、浄化期間が数年かかる点やコスト面、土地の制約などが課題だった。
短期間で浄化
大成建設は、浄化に関係しない細菌の増殖を抑制するホップ成分の性質が、脱塩素細菌を優先的に活性化して浄化期間の短縮に貢献することをつきとめた。
この働きにより無関係な細菌に対して消費していた微生物活性剤の使用量を削減できた。天然由来のため、生態系への安全性の高さもホップ成分のメリットである。
微生物活性剤にホップ成分を含めた実証試験で、地下水汚染サイトへの浄化効果がラボレベルに匹敵することを立証した。浄化の際、土壌を掘削する必要がない原位置浄化技術でもあるため、今後、大成建設は塩素化エチレン類の汚染地下水浄化に積極的に活用する予定だ。
(画像はプレスリリースより)
大成建設株式会社 プレスリリース
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