求められる標準化
国立研究開発法人農業環境技術研究所(農環研)は、2016年3月25日、水田から排出される温室効果ガス量を測定する、水田における標準的観測手法をガイドラインにまとめ、WEBサイトで公開したと発表した。
温室効果ガスでCO2と同様に排出削減を必要とされるメタンと一酸化二窒素は農業分野の寄与が大きく、削減できれば同分野の温暖化緩和策に貢献すると考えられている。
これらの測定には世界各国に普及している手法で、土壌に置いたチャンバー内の空気を採取してガス濃度を分析する手動チャンバー法があるが、適用方法が一様ではないため測定法の国際的な標準化が待たれていた。
COP13(2007年の国連気候変動枠組締約国会議)でも温室効果ガス観測の測定・報告・検証(MRV)を進める手法の確立を求めていた。
WEBサイトで公開
水田で排出される温室効果ガスを1980年代から研究してきた農環研は、農林水産省委託プロジェクト(2013年度~2017年度)で、東南アジア4カ国で水管理の改善による水田からの排出量削減効果を検証すると共にMRV手法の確立を目指している。
今回のガイドライン(「水田から排出されるメタンおよび一酸化二窒素に対する手動チャンバー観測ガイドライン」)は、測定技術の標準化がMRVの実施に必須のため作成したもの。
国際稲研究所と共同で、世界で使われている測定手法について文献や聞き取り調査で比較検討した結果、科学的根拠に基づいた標準的観測手法を提案するに至った。
農環研は世界各国でガイドラインが活用されることを期待し、今後、順次改訂していく予定である。ガイドラインは、国際研究ネットワーク「グローバル・リサーチ・アライアンス(GRA)水田研究グループ」のWEBサイトでも公開されている。
(画像はプレスリリースより)
国立研究開発法人農業環境技術研究所 プレスリリース
http://www.niaes.affrc.go.jp/techdoc/press/160325a/