山火事後の管理方法
株式会社富士通研究所は、オーストラリア国立大学(ANU)と共同で、オーストラリアの天然林の新たな管理方法を見いだし、自然保護地域に関する世界最大の会議「World Parks Congress2014」に連名で発表した。
日本は木材チップの輸入量が世界で最も多く、そのうちの27%がオーストラリアから輸入する。オーストラリアの森林は世界全体の4%、1.56億ヘクタールあるが、山火事も多発する。2009年にビクトリア州で発生した火災の被害は40万ヘクタールに及ぶ。
山火事後、皆伐し、木くずは切り株まで全て焼き払ってから植林することが、オーストラリアでは一般的だ。将来の木材資源を確保するため、また、山火事後に生物が生息しにくくなると考えられているためだ。
LCA技術で解析
ANUは山火事や伐採などの攪乱が森林とそこに生息する生物にどのような影響を与えるかを研究し、ビクトリア州のセントラルハイランドでのフィールド調査で、植生の状態や動物の生息状態などの生態系データを蓄積してきた。
同研究所は、2012年10月からANUと共同研究を開始し、環境負荷を定量評価するLife Cycle Assessment(LCA)技術を適用して、フィールドデータを解析した。
山火事や木材資源の利用による森林の変化と炭素量の関係をシミュレーションした結果、CO2排出抑制を考えると、山火事後の天然林は皆伐、植林より自然の回復力を活用すべきことが明らかになった。
また、山火事前後に有袋類ポッサムの生息数を解析した結果、焼け残った木は重要な住処で、穴の状況、状態がよければ戻れること、山火事後の森林も保護区に設定すべきことがわかった。
会議では、CO2排出抑制や希少生物の保護に適した上記の管理方法を提言した。
(画像はプレスリリースより)
株式会社富士通研究所プレスリリース
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