ダックカーブ問題
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、米国ニューメキシコ州や米連邦政府エネルギー省国立研究所などと共同で、同州の住宅約900軒に電力の消費を調整するデマンドレスポンス実証を行った。
米国では太陽光発電の普及が大量化して「ダックカーブ問題」が発生している。太陽光発電の系統連係が増えたことで、日中に火力電源への電力需要が下がり、夜間のピーク需要との差が開き、夕方に火力の需要が短時間に急激に集中する問題で、これを緩和する必要がある。
デマンドレスポンスを設計
スマートグリッド共同プロジェクトは2009年度に始まり、ロスアラモス郡の住宅を対象にしたデマンドレスポンス実証が2013年から2年間実施され、2014年度に完了した。
実証は、電気料金を時間帯別に設定し、翌日の気温や電力需給の予測に基づいて設計したデマンドレスポンスを発動するというもの。消費者が消費行動を変え、電力の需要パターンの変化につながるかを検証した。
デマンドレスポンスを実施する上で、電力価格をPC、携帯電話、インホームディスプレイ(IHD)に表示した。その結果、電力使用量の増加が見込まれる夕方にエアコンの温度設定を変更する、外出時間を調整するなどの節電行動が取られ、電力消費のピーク時間帯に最大で約10%の抑制に成功した。
デマンドレスポンスの適切な実施が電力需要のピークを抑制し、火力発電の供給量の緩和や系統用蓄電池の容量の削減に効果があるとわかった。今後は、再生可能エネルギーを配電系統に大量に導入したときの課題に対して、この成果を活かしていく考えだ。
(画像はプレスリリースより)
NEDOプレスリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100376.html