エネルギー多消費型産業であるセメント産業において省エネルギー化を図るため、株式会社トクヤマは、最もエネルギーを消費する焼成工程での低温焼成技術の開発に取り組み、約100度の低減に成功した。
セメントの製造工程では、原料(石灰石、粘土、酸化鉄など)を焼成窯で約1500度まで焼成し、その後に急冷するとこぶし大のクリンカーができる。これに石膏を加えて粉砕するとセメントが製造される。
今回、室内試験で得られた結果を徳山製造所南陽工場の実機プラントで実証した。試験に際しては、ポルトランドセメントクリンカーと同等の品質を維持した上で、焼成温度を100度低減することを目指した。
クリンカー組成をアルミ源と鉄源を調整して決定し、クリンカー原料は通常と同じものを使用した。廃棄物や副産物の原料はクリンカー1トン当たり260~300キログラムとし、8時間の連続焼成を実施した。
同社が開発したクリンカーの被焼成温度を測定する測定方法を適用したところ、実証試験で達成した焼成温度は1300~1350度だった。
低温焼成の実用化を目指す
同社は、実証した技術を実機プラントに適応すると、クリンカー焼成工程の熱量原単位は約5%の削減が可能と推定する。
また、実機粉砕設備で試験粉砕した結果、新技術で焼成したクリンカーが、普通ポルトランドセメントと同様に粉砕可能であることも実証、セメントの品質は通常と同等の初期性状と強度発現性を備えていた。
同社は今後、クリンカー低温焼成を実用化するため、必要な課題を抽出し、解決していく方針だ。今回の実機実証試験については第69回セメント技術大会(2015年5月12日~14日)で発表する。
株式会社トクヤマ プレスリリース
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