NOxの排出量規制に対応
川崎重工株式会社は、川崎汽船株式会社と共に、2011年から世界に先駆けて始めた水エマルジョン燃料の長期実船試験を完了した。
2016年に国際海事機関(IMO)が窒素酸化物(NOx)の3次排出量規制を実施するため、特定規制海域を渡航する舶用ディーゼル機関は、1次規制値より80%の削減が必要になる。これに対し、ディーゼル機関単体の設計変更などでNOxを削減できれば、トレードオフの関係にある燃料消費量とCO2排出量を増やすことができる。
燃料中に細かい水粒子を含む水エマルジョン燃料は、エンジン燃焼室内で水粒子が蒸発して火炎温度を下げる。また、燃料噴霧の微細化と空気導入の増加で燃焼を改善する。その結果、燃料消費量、CO2排出量を増やさずにNOxの生成を抑制する。
同社は、この水エマルジョン燃料技術と他のNOx低減技術を合わせることで、3次規制値の効率的なクリアに取り組んでいる。
実船試験
実船試験では、同社が水エマルジョン燃料供給システムを搭載した58,000トン型ばら積運搬船を建造し、川崎汽船グループが運航した。
就航3年めのドック時検査で、主機関と水エマルジョン燃料供給システムの正常を確認し、試験完了時に、NOxを含む排ガス性状や機関性能の評価と耐久性が3次排出量規制に対応することを確認した。
今回の水エマルジョン燃料技術は排気再循環技術と組み合わせて、同社の環境対応システム「K-ECOS」に適用される。さらに、川崎汽船の次世代環境対応「DRIVE GREEN PROJECT」として建造する大型自動車運搬船に搭載し、2015年度末に引き渡す予定だ。
川崎重工株式会社 プレスリリース
http://www.khi.co.jp/news/detail/20150514_1.html