送電ロスが少なく陸上変電所の新設が不要
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、洋上に複数基の風力発電システムを配置した大規模な洋上ウィンドファームの導入を拡大するため、多端子直流送電システムの開発を開始する。
日本では適地が限定され、コストもかかる陸上風力発電より、長い海岸線を活用できる洋上風力発電への期待が高くなっている。ただし、洋上の場合、発電される電力を効率的で低コストに陸上まで長距離送電する必要がある。
多端子直流送電システムとは、複数のウィンドファームで発電した電力を複数の洋上変電所で集電、直流変換した後、複数の陸上変電所へと送電するシステムである。直流は送電ロスが少ないため長距離送電に適しており、多端子化で既存の接続可能量が大きい陸上変電所への送電を可能にする。
システムに必要な要素技術も開発
NEDOは、多端子直流送電システムを実用化するため、システムの最適設計をはじめ、シミュレーションモデルや国内系統のモデルケースを基に、システムの計画、事業性の評価を行っていく。
このシステムは、複数の変電所で相互に接続する回路構成をとることから、直流送電系統で運転を継続するには、直流送電系統での事故発生時、事故区間を切り離す直流遮断器が必要になる。
加えて、直流送電ケーブルの開発や敷設後方の低コスト化など、システムの実現に欠かせない要素技術も併せて開発していくことになる。
今回の事業は、学校法人常翔学園大阪工業大学、株式会社大林組、住友電気工業株式会社、一般財団法人電力中央研究所、国立大学法人東京大学、東京電力株式会社、学校法人東京電機大学、株式会社東芝、株式会社日立製作所、古河電気工業株式会社に委託される予定である。
(画像はプレスリリースより)
NEDO プレスリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100406.html