水素キャリアとして注目される
京都大学、株式会社ノリタケカンパニーリミテド、三井化学株式会社、株式会社トクヤマは、アンモニアを直接燃料として供給する固体酸化物形燃料電池(SOFC)を開発し、そのアンモニア燃料電池による世界最大規模(200Wクラス)の発電に成功した。
アンモニア(NH3)は水素を多く含むことから、水素を変換して貯蔵や輸送を簡便にするエネルギーキャリアとして期待されている。また、アンモニア燃料を発電した場合、炭素を含まないため排出するのは水と窒素のみ、CO2排出量の削減効果も大きい。
SOFCは700度~900度で動作する酸化物セラミックスを構成材料に、燃料極、電解質、空気極で成り立ち、水素や一酸化炭素を燃料に使う燃料電池である。発電効率の高さを特長とする。
アンモニアのエネルギー利用技術を進展
開発された直接アンモニア燃料電池の仕組みは、電解質のジルコニアに、燃料極にアンモニアガス、空気極に空気を供給すると、両極間で電力が発生するというもの。
開発に当たっては、燃料電池単セルを積層させて電圧と出力を増加したSOFCスタックに、アンモニア燃料専用の部材を選定。また、アンモニア燃料を直接供給できるように、接合部を封止めしてリークを防ぐ特殊グラスを採用した。
アンモニア燃料電池を発電したところ、純水素と同等レベルの発電特性をもち、直流発電効率が良好であることが立証された。共同研究グループは、今後、家庭用の出力に相当する1kWクラスでの実証実験を行う予定。
将来的にはアンモニア燃料を業務用の分散型電源に応用するなど、今回の技術でアンモニアのエネルギー利用はさらに可能性を広げている。
(画像はプレスリリースより)
京都大学・科学技術振興機構(JST)・株式会社ノリタケカンパニーリミテド プレスリリース
http://www.jst.go.jp/