共同研究を実施
栗田工業株式会社は、2015年10月2日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)から国際宇宙ステーション(以下、ISS)の「きぼう」日本実験棟に搭載する「次世代水再生実証システム」を受注したことを発表した。
水再生システムとは、ISS内部で回収した水分(尿)を再生処理し、飲用可能な水質にする装置である。現在、アメリカ製・ロシア製の水再生システムが使用されているが、同社とJAXAは日本独自の将来型水再生システムの実用化を目指して、2011年に共同研究契約を締結した。
以来、両社は、「水再生システム」の処理方式などの技術開発に取り組み、すでに、ISS使用条件下での安全性の検証も済ませている。今回、受注したフライト品は2016年度にISSに納入し、「きぼう」日本実験棟で実証試験を行う予定である。
新システムの装置仕様
「次世代水再生実証システム」は、イオン交換、電気分解、電気透析のユニットに分かれた水処理装置と制御装置から成る。まず、尿中のカルシウム、マグネシウム成分をカチオン交換樹脂によるイオン交換反応で除去し、水中の有機物を特殊電極の高温高圧で電気分解後、電気透析でイオンを除去、この過程で尿が浄化される。
この装置は従来製品と比べ、重量、サイズが4分の1と小型化し、水の再生率は85%以上と高レベル、さらに、消費電力約2分の1を実現する。処理方式では、システム内でイオン交換樹脂が再生されるため、樹脂は交換、メンテナンスとも不要となる。
(画像はプレスリリースより)
栗田工業株式会社 プレスリリース
http://www.kurita.co.jp/aboutus/press151002.html