緑のネットワーク
東急建設株式会社は、都市部に棲む生物の生息空間の連続性に着目し、東京都市大学の田中章教授の指導により、エコロジカル・コリドー簡易評価ツール(CSET、Ecological Corridor Simple Evaluation Tool)を開発したことを2015年10月7日に発表した。
エコロジカル・コリドーは、野生生物のハビタット(生息環境)の重要拠点をつないだ回廊(緑のネットワーク)を意味する。
CSETの開発に際し、渋谷区の同社の周辺、半径2km内に点在する緑地に生息する植物、昆虫類、鳥類を2010年~2014年に調査して、基礎データを収集した。
都市部の小規模な緑地では、飛翔するトンボ類やチョウ類、鳥類を屋上緑化などに誘致しやすいため、それらの個体数、分布状況については特に詳細に行った。
同社は収集した基礎データを基に、ハビタットのポテンシャルを定量化することで複雑な生態系の概念を評価したツールのHEP(ハビタット評価手続き)と、GIS(地理情報システム)とを応用して今回のツールを構築した。
CSETは、評価対象地における評価対象種のハビタットのポテンシャルを点数化し、棲みやすさを色分けするなど地図上で表示する。対象地は樹林、草地、水辺などの土地利用条件で分けられ、対象種はトンボ類、チョウ類、鳥類から選定できる。
生物多様性保全の取り組み
同社は、建築物の生物多様性を評価するツールとして、生物多様性簡易評価ツール(BSET、Biodiversity Simple Evaluation Tool)を2011年に開発した。
今後、CSETとこのツールを活用し、生物多様性の保全に広域的に対応した緑化を提案するなど、まちの価値の向上に貢献する考えである。
(画像はプレスリリースより)
東急建設株式会社 プレスリリース
http://www.tokyu-cnst.co.jp/topics/878.html