環境に配慮した小水力発電所
日本工営株式会社(以下、日本工営)は、長野県高山村にある信濃川水系松川で、既設の砂防堰堤を活用した高井発電所の発電を開始したと2015年10月23日に発表した。
高井発電所は、長野県が管理する高井砂防堰堤の高低差約36メートルを利用して発電する流込式水路式の小水力発電所である。
この堤に貫通孔を空けて取水するため、新たに取水堰を建設する必要がなかった点に加えて、川の水量が減少する減水区間が短い点でも、環境に与える影響をある程度抑えた発電所といえる。
この川は自然由来と廃止鉱山が原因となる酸性河川で、地域での活用が難しかった。今回、水車発電機をステンレス製とするなどの取り組みにより、酸性水の河川を有効利用した形となった。
小水力発電事業を推進
日本工営は、建設コンサルタントや電力エンジニアリングの事業を国内外で展開し、その実績を生かして再生可能エネルギー事業にも進出している。
特に小水力発電事業に力を入れており、これまでに、新曽木水力発電所(鹿児島県伊佐市)、四時ダムESCO事業(福島県いわき市)などを全国6カ所に建設した。
今回の高井発電所については、同社が建設資金、技術者を提供したが、今後は、子会社の株式会社工営エナジーと、高山村が一部出資した長野水力株式会社とが運転・維持管理を行う。
同発電所は年間で約270万キロワットアワーを発電し、固定価格買取制度(FIT)で売電する。これは一般家庭約750軒分の電気使用量に相当し、高山村では全世帯数の約30%をカバーする。
(画像はプレスリリースより)
日本工営株式会社 プレスリリース
https://www.n-koei.co.jp/news/pdf/151023.pdf