変換が困難な二酸化炭素
昭和シェル石油会社は、ガス拡散電極を用いた人工光合成で炭化水素を合成することに世界で初めて成功し、2017年3月に京都で開催される国際学会ICARP2017での発表を予定する。
二酸化炭素削減に向け、二酸化炭素を炭化水素などの有用な資源に変換することで二酸化炭素の排出量を抑える方法が有望視されている。しかし、化学的に安定している二酸化炭素を変換することは難しい。
日本が世界を牽引する研究に、太陽光をエネルギー源として人工光合成技術で変換するというものがあり、水に溶かして変換する方式が一般的に行われているが、少量の二酸化炭素しか水に溶けない点を課題としている。
気体の二酸化炭素を利用
同社は、常温常圧下において太陽光エネルギーのみで水と二酸化炭素から炭化水素などの資源へ変換させることに成功した。気体の二酸化炭素を直接反応させるため、電極には燃料電池などに使用するガス拡散電極を用い、これに独自に開発した触媒を使った。
さらに、半導体光触媒とソーラーフロンティア社製CIS薄膜太陽電池とで積層構造を成す光陽極を用いたところ、植物が光合成で炭水化物を生成する効率と同レベルの太陽光エネルギー変換効率0.71%を達成した。
ガス拡散電極を用いた人工光合成の技術は二酸化炭素を気体で利用できる点がメリットである。今後、炭化水素やアルコールなどを高効率で製造する技術を開発されれば、二酸化炭素の再利用に貢献すると考えられる。
(画像はプレスリリースより)
昭和シェル石油株式会社 プレスリリース
http://www.showa-shell.co.jp/