動植物の絶滅の後ろにはいつも人間が
貴重な動植物がこの地球上から姿を消してゆく背景には、いつも我々人間の影がある。環境破壊もさることながら、ささいな誤解から生じた偏見によって貴重な命が奪われていることもまた事実である。
8月19日付の海外サイト「LE FIGARO.fr」では、インド洋に浮かぶフランス海外県、レユニオンに住む一人のエコロジストの男性の様子をレポートしている。島の薬剤師であるディディエ・ドゥランさん(55)は、「サメが人を襲う」というプロパガンダによってサメが犠牲になっていることに心を傷め、ある行動を起こした。
※画像はイメージですサーファーが襲われたのはサメが勘違いしたから
島ではサーファーがサメに襲われてここ20か月の間に3名が死亡、2名が手や足を切断するなどの被害に遭っており、一帯の海はサメに襲われるポイントとしてすっかり定着してしまった。
しかしディディエさんいわく、サメは本来人間を襲うことはなく、サーフボードに乗ったサーファーは、海中から見るとサメの補食対象であるウミガメの姿に酷似しているためにサメが誤解してしまったことから事故は発生したとのことだ。
もちろんサーファーたちの安全を確保する方法は見つけなくてならない、としながらも、サメを駆除して良いという理由には決してならない、と主張した。
サメと泳いで安全性をアピール
ディディエさんを含め6人の泳者は、サメが人を襲うことはないと世間に知ってもらうために、ジャーナリストやサーファーたちが見つめる中、サメが棲息するポイントで一時間以上も泳いでみせるという切実なるアピールを行った。
現在レユニオンの水生動物相は非常に乏しく、エイも、サメも、ウミガメもどんどんその数を減らしているのだという。動物の棲息場所に勝手に踏み込んだ人間に、やはり一番重い責任があるのかもしれない。
LE FIGARO.fr
http://www.lefigaro.fr/