話題のEM菌、水質浄化に効果なし?
7月27日に毎日新聞が報じた「クリーン作戦:水門川をきれいに あす大垣で実施、参加呼びかけ/岐阜」の記事にて川の浄化作用などがあるとされているEM団子がとりあげられたことで、毎日新聞記者・斗ケ沢秀俊氏が8月20日に自身のtwitterにて「EM菌報道に関する提言」を本社へ提出したことを明かした。
問題の記事では、土の再生に役立つEM菌を田んぼの泥に混ぜ団子状にし、川に投げ入れることで微生物の活性を促し水の浄化につながるという文面があった。
認識不足のまま報道するべきではない
1か月以内を目標とし、社内でEMの宣伝に手を貸す事になる記事の掲載についての問題提起をする旨を7月30日のツイートで発表した斗ケ沢氏は、8月20日のツイートで「EM菌報道に関する提言」を提出したことを報告した。
「EM菌報道に関する提言」ではまず、EM菌についての記事が主に地方版で年間10件ほど掲載されており、その大半は「河川浄化のためにEM菌を投入」といった記事であり、批判的な記事は少ない(過去5年間に掲載された50件中わずか2件)という現状を記しました。
私の「提言」では、「なぜ報道すべきではないのか」について、2点をあげました。第一に、EM菌が河川やプールの浄化に効果があるという科学的証明がないこと、比嘉照夫氏が「科学的検証はまったく必要ない」と第三者による科学的検証を拒否していることです。
「なぜ報道すべきではないのか」の第二の理由は、EM菌が企業の商品にほかならないことです。通常、新聞記事では不必要に特定企業の宣伝をしたり、商品宣伝をしないようにしています(企業名、商品名が不可欠である場合は名称を入れる)。ところが、EM菌は商品だという認識が不足している。
EM菌は商品であることをきちんと認識すれば、効果が科学的に検証されていない商品のことを、記者が積極的に書くことはないでしょう。「効果が証明されていない」「商品である」の2点について、編集編成局内(支局を含む)で文書による注意喚起をするよう、提言しました。
今後の朝日新聞の反応に高まる注目
twitter上では、同氏の提言に賛同する多くの人々が、共感のコメントを寄せた。今後、朝日新聞社がどのような見解を示すのか、注目が高まる。
EMに含まれる微生物が、土などに最初からいる微生物を連係させて働かせることにより投入した量以上の効果が出るとされているが、現代科学では解明されていない分野の研究であり、批判視する意見も多い。
2008年3月に福島県では、EM菌などの微生物資源を河川や湖沼などに投入することは汚染源となる見解を発表している。
毎日新聞
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