水力発電建設が河川の生態系に与えるインパクト
世界的に活動する環境保護団体WWFのドイツが、メコン川流域に計画されている巨大なダム建設計画は、環境と数百万人の人々の食料供給を脅かすことになると警告している。
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dalberaラオス、タイ、ベトナム、カンボジアの各政府は、メコン川の主流に11箇所、支流に77ヶ所のダム建設を計画している。これに対しWWFは、この建設計画がすべて実施されると、生態系に大きな影響を与えることになり、一帯で生活する6000万人の住人の生活に劇的な変化を与えると予測している。
川がさまざまな場所で堰き止められると、水中の生物は回遊が不可能になり、一箇所に閉じ込められる。そして地元住民による漁業によって次々と姿を消していいく、とWWFの淡水生態系専門家のシュテファン・ツィーグラー氏は説明する。結果として何百万もの人々の生活基盤が脅かされることになる。
一帯の住民の生活の糧を奪い、さらなる環境破壊を引き起こすおそれが
WWFは漁業での収穫は40%減少すると予測する。ほとんどの家庭が漁業によって生活を立てているこれらの地域では、深刻な脅威である。WWFは、メコン川主流へのダム建設による経済的損害を、およそ年間4億7600万ドルと推定している。
また、魚という食料を失った人々を養うために、食料生産における家畜の比重が高くなるだろう。結果として、飼料生産を拡大しなければならず、大規模な森林伐採を通じてさらなる環境破壊が行われると予測している。
ツィーグラー氏は語る:
化石燃料から脱却するために、水力発電施設を建設するという目的は正しい。しかし、問題のある計画によって資源を枯渇させてしまったり、人々の食料源を奪ってしまうとしたら、それは持続可能とは言えない。
WWFドイツ
http://www.wwf.de/2012/august/sterbende-fluesseメコン川のダム(英語)
http://www.wwf.de/fileadmin/fm-wwf/Publikationen-PDF