暖房代を払えない!
「燃料貧困」という言葉をご存じだろうか? 収入が低い、住居設備が整っていないといった理由で、適切に暖房を利用することができない状態を指す言葉だ。
冷涼な気候のイギリスでは、2001年に「イギリス燃料貧困戦略」を策定した。そこで暖房で適正な室温を維持するために収入の10パーセント以上を費やさなければならない家庭を「燃料貧困家庭」と定義づけた。
この場合の適正な室温とは、WHO(世界保健機関)が健康のために推奨している、18度から21度。高齢者や慢性の病気、障害を抱えている人たちにとって、部屋の適正温度を保つことができなければ、健康に影響を及ぼす可能性が高い。
そのため、政府は高齢者層や健康に問題を抱えている人たちを中心に、暖房設備の購入や断熱対策の補助金を提供するウォーム・フロント制度(暖房対策制度)を行ってきた。
学生の間で顕著に
しかし、イギリスの環境情報サイトEcologistによると、イギリスで今いちばん燃料貧困に苦しんでいるのは、意外にも都会の若者だという。
バーミンハム大学の女性科学者が書いた最新のリポート「エネルギー不足に陥る都会の若者」によると、バーミンハムに住む若者の調査と、英国王立地理院のデータを分析した結果、若者の多く、とくに学生が十分に暖をとることができていない状況だという。
その多くは、不適切な温度下で生活しているという自覚はなく、自分たちが燃料貧困の状態にあることに気づいていないという。
論文では、若者の燃料貧困は今後も悪化する可能性が高く、家主や大学は、若者たちが燃料貧困から抜け出せるような対策をとるべきだと述べている。
Ecologist
http://www.theecologist.org/News/news_analysis/