光や熱の出入を調節するのに効果的な調光ミラー
産業技術総合研究所は2012年9月20日、鏡状態から透明状態、透明状態から鏡状態を1サイクルとした10,000サイクル以上の切り替えに耐える調光ミラーを、マグネシウム・イットリウム系合金薄膜材料を用いることで実現したと発表した。
※マグネシウム・イットリウム系合金を用いた調光ミラー
生活に必要な外光を取り入れることができる一方、熱の出入り口にもなってしまう窓ガラスは、建築物の断熱を妨げる主な要因となり、市販の高断熱窓を導入するだけで冷暖房負荷が3割から4割低減できると試算されている。
調光ミラーに用いる合金の「黄色み」を解消
2002年から調光ミラー用薄膜材料の研究開発に着手してきた産総研は、今回、マグネシウム・イットリウム(Mg-Y)系合金が効果的であると発見。
また、調光ミラー薄膜層とパラジウム触媒層の間に中間層を挿入、さらにパラジウム触媒層の上に反射防止膜をコーティングすることで、耐久性を維持しながら光学特性をもつ調光ミラーの作製に成功した。
この合金を用いた調光ミラーは、1日に朝と夕方で2回の切り替えを行った場合30年に相当する、10,000サイクル以上の切り替えに対しても劣化しないことを確認。この耐久性の飛躍的な向上により、調光ミラーを用いた窓ガラスの実用化が期待される。
AIST: 産業技術総合研究所
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