分解されない成分が水循環に放出されている
オーストリア紙Der Standard電子版が、医療用医薬品成分による河川水や地下水汚染の可能性を報じている。
多くの医療用医薬品の成分は、生物学的な分解性を持たず、水循環へと放たれてる。排水は汚水処理場で処理されるが、分解されない成分はそのまま河川へ排水されているのだ。
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医療用医薬品成分の長期的な影響については、現在までにほとんど研究が行われていない。この問題自体は既に20年前から知られていたが、ようやく関心が持たれるようになってきたとウィーン大学地球環境学の研究者ティロ・ホフマン氏は言う。
オーストリアでは、河川水を上水道として利用することは稀であり、その点では幸運だと言えるが、例えばドイツのベルリンでは飲料水の70%を地上を流れる河川の水で賄っている。
水循環や土壌を経て再び人の体へ
墺連邦環境庁のシュテファン・ヴァイス氏も「医療用医薬品の成分は、生物学的に分解が難しい」とこれを肯定し、さらにこれらの物質は水に溶けやすいため、地下水にまで浸透する可能性があると指摘している。
また医療用医薬品を使用するのは何も人間だけではない。獣医が家畜のために処方した抗生物質の量は、2011年だけで60トン余りにもなる。ドイツでは既に研究者達が、水や土壌中に150種類の医薬品成分が含まれていることを発表している。
さらに昨今人気が高まっているローカロリー食品や清涼飲料ににも分解されない成分が使用されている。例えば人工甘味料のアセスルファムKは、人の体内で分解吸収されない。体外へと排出されたのち、汚染処理場を経て水循環へと放出されている。もっとも専門家としての見地から、この物質は健康へのリスクはないとのこと。
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