ドイツの生態系保護区域の隣に、デンマークの海洋資源開発
環境保護団体WWFドイツが、北海の海洋生態系がデンマークの海洋資源開発計画により脅かされているとリポートしている。
北海のほぼ中央に位置するドッガー・バンクは、魚類が豊富に生息する地区であり、特にネズミイルカやミンククジラの生息地として、ドイツ属する区域はヨーロッパの生態系保護区域であるNatura2000に指定されている。
(画像はイメージ)
ところがこの海域のデンマークに属する区域に、石油・天然ガス田開発計画が持ち上がっている。デンマーク側は保護地区に指定されていないのだ。
デンマークのエネルギー省は、計画の実現に向けて調査を実施し、環境への影響を評価しているが、計画が実現すれば当然ドイツ側海域にも影響が出る恐れがあるとして、ドイツの13環境保護団体が共同でデンマーク政府のこの計画に対する意見書を取りまとめた。
”欧州の自然保護法を守るために、この計画は認可されてはならない”
計画では、CO2を注入して資源を獲得し、CO2はそのままその位置に蓄積される予定だ。これに対しドイツの環境団体は、CO2の注入は天然ガスの漏洩を引き起こす恐れがあり、資源を輸送するための海上交通と合わせて海洋の生態系に大きな影響を与える恐れがあるとしている。
特にネズミイルカとミンククジラは環境の変化に敏感で、エアガンと呼ばれる圧縮空気砲を用いた地震調査でさえも、死に至らしめることがあることで知られている。プラットフォーム建設による騒音が彼らの生態を破壊してしまうことは十分に考えられる。
環境団体達は、デンマーク・エネルギー省がとりまとめた環境報告書は、データが不十分でかつ重要な情報がかけており、この計画の海洋環境への影響が全般的に過小評価されていると結論づけている。
ちなみにミンククジラとは、日本が捕鯨対象として世界中の自然保護団体からバッシングを受けている、まさにその種である。
WWF ドイツ
http://www.wwf.de/2012/september/daenische-oelfoerderung