保護区外に100頭のトラ
急速な経済発展を遂げているインド。じつは野生動物愛好家の間では、トラの保護区が多数あることでも知られている。
だが、最近、マハラシュトラ州にある保護区外の緩衝地帯にトラが出没し、付近の住民や、住民が放牧した家畜を襲う被害があいついでいる。この緩衝地帯には79の村がある。
緩衝地帯でのトラの出没が急増した原因について、森林省の関係者は、保護区内に密猟者が入りこんでいることが大きな要因だとみている。一部の地元住民が密猟者に協力しているという報告もある。
現在、保護区域の外で野放しの状態になっているトラは約100頭いるともいわれ、マハラシュトラ州政府は、密猟を防ぐための対策を講じるとともに、今後の野生生物保護や環境保護について、地元住民の利益を考慮した政策を進めていくつもりだ。
住民から補助金要望の声
今後の政府の対応について、住民からは次のような要望が出されている。
ひとつめは、トラに襲われるおそれのある牧草地で放牧を行わなくてもすむように、州政府が畜産家に対して、畜舎の整備費用や飼料費用の補助金を出すこと。
ふたつめは、緩衝地帯のなかでエコツーリストのガイドや警備員として働く住民の待遇を改善することだ。
また、緩衝地帯の森林保護と、住民の安全確保のため、料理用のたきぎに代わるバイオガス燃料の支援を行うことも検討されている。
トラと人間がお互いに安心して暮らせる日は、来るか。
マハラシュトラ州政府
http://maharashtra.gov.in/english/Pages/Home.aspx