脱原発派が称賛するフィリピン
福島第一原発事故から1年あまり。山本太郎など著名人たちの呼びかけもあり、脱原発運動はかつてない高まりを見せている。この事故は世界各国のエネルギー政策にも影響を与えたが、そのなかでもツイッター上で、脱原発派から称賛されていたのがフィリピンだ。
アキノ大統領は、昨年の福島第一原発事故直後に、国内に唯一あるバタアン原子力発電所の稼働計画を中止することを決定。1984年に完成してから一度も稼働したことのない原発は、見学ツアーのために開放されることになった。
しかし、フィリピンでは電気が未整備の土地が多く残されており、電力網の整備は依然として重要な課題だ。これに対して、アキノ大統領は自然エネルギーを積極的に導入する姿勢を示している。
かつて米軍基地があった街で
その拠点として期待されているのが、首都マニラ近郊の都市スービックだ。スービックは、かつて米軍基地があった街。1992年に米軍が撤退したあとに再開発が進められ、現在は経済特区として栄えている。一方、海と山の自然が色濃く残るエリアは、観光地としても人気だ。
スービック都市開発局は、国内外のエネルギー会社数社に太陽光発電プラント、風力発電プラントの建設を認可。すでに中国のハイドロチャイナ社の投資により、2基の風力発電プラントが実証実験のために稼働している。
局長のガルシア氏は「建設予定地は標高が高く、風力発電に適した場所。実証実験からは期待以上の結果が出ている」と話す。
現在計画中のすべてのプラントが建設されたのちには、503メガワットの電力が発電可能になると推定される。
(編集部 野口和恵)
スービック都市開発局
http://www.sbma.com/