全体の80%が「飲めない!」
アジア開発銀行が最新のリポートのなかで、「中国国内の水問題は、今後10~15年の中国の成長を左右するもっとも差し迫った課題」と記している。
アジア開発銀行の調査によれば、中国で利用されている水は、国内の水資源全体の30%にとどまっており、地方で暮らす3億人の中国人が、いまだ安全な飲み水にアクセスできないでいるという。
そのひとつの大きな原因は、深刻な水質汚染だ。2010年に26の湖で行われた調査では、採取した水の77%が飲み水として安全性に問題がある段階のグレイド4に分類された。
なかでも中国の湖で5番目の面積を持つ巣湖は、さらに汚染度が深刻なグレイド5に分類された。
巣湖では、1980年代から農場で使われている化学肥料が流れ込み水質汚染が進行。そのため、豊富な水量にもかかわらず、隣接する合肥市に飲み水を供給できていない状況だ。
水ビジネスにかつてない商機
現在、中国政府は、巣湖からの飲料水の供給確保をめざし、巣湖管理局を立ち上げたところだ。投資先として、水質改善、水の安全安定供給の分野で優れた技術を持つ企業も探している。
また、先月からは、汚染源となっている農家に対して、周囲の環境へ影響を与えない農法へ改善をはかることを求め、それにともなう経費や損失額を補償することを約束している。
中国政府は、今後はほかの水源周辺でも同様の対策を予定しており補償費の財源として、環境税の増税、見直しも検討している。
アジア開発銀行
http://www.adb.org/