公害都市をエコシティに
中国北部の産業の中心地、天津地区で30平方キロメートルのエコシティをつくる計画が、中国とシンガポールの共同プロジェクトとして進められている。都市設計を担当するのは、シンガポールに拠点を置くサルバナ・アーバン・グループ。
現在の天津地区には、有害なごみがたまった廃棄場があり、「エコシティ」にはほど遠い場所だ。あえてこの場所でエコシティの開発を計画した理由について、プロジェクトリーダーのホ氏は、こう語る。
「これまで世界各地でつくられてきたエコシティは、もともと好条件がそろっていた土地でした。ですが、環境汚染が進んだ地区もエコシティとして生まれ変われるということを、私たちの手で証明してみせたいのです」。
低所得者に補助金
このエコシティでは、住民たちは太陽光や風力など再生可能エネルギーを使って生活する。二酸化炭素排出削減のため、交通網も整備する。特に二酸化炭素排出量世界一の汚名を払しょくしたい中国側は、公共交通機関を移動手段のメインとしたい考えだ。
また、行政の中枢機能は都市内の一区画にまとめ、市民のレクリエーションの場や公園や緑地のスペースを広くとる予定だ。
都市の完成後は、約35万人の居住を想定しているが、ここで課題となるのは生活コストの問題だ。最新のエコ技術を集積した都市では、そのランニングコストが市民の生活費に影響する可能性が高い。
そこで中国は、低所得者を対象に補助金の支払いも計画しているという。「私たちめざすエコシティは、一部の裕福な人のための贅沢な街ではありません。だれにとっても住みよい街をめざしています。この街が実現すれば、きっと世界のモデルになるでしょう」とホ氏は言う。
サルバナ・アーバン・グループ
http://www.surbana.com/en/index.html