あらゆる電子機器の省エネ化に応用できる
独立行政法人 科学技術振興機構(JST)と北海道大学は2012年6月13日、従来のトランジスターの理論限界を大きく下回る低消費電力トランジスターの開発成功を発表した。
PCの集積回路やマイクロプロセッサなどで使われている半導体集積回路は、トランジスターの小型化によって高性能・低消費電力・低コスト化を実現してきたが、従来の方法では頭打ち。近年では半導体回路内の消費電力が大幅に増えている。
理論限界を突破、次世代省エネデバイスの誕生
本研究グループでは、トランジスター構造を縦型にし、ラップ状にゲート電極を作ることで、電流のリークを抑え、さらに、ナノメートルスケールの結晶成長技術によって形成したナノワイヤ界面で生じる電子のトンネル効果による電流をスイッチ素子に使うことで、理論限界を大幅に超える数値を初めて達成した。
トンネル効果とは、エネルギー的に通常は超えることのできない領域を一定の確率で通り抜ける現象。この技術を応用すれば、回路全体の消費電力を10分の1以下に低減することができる。また、あらゆるデジタル家電の待機電力やモバイル機器の電池消費を大幅にカットすることが可能になる。
トランジスターの理論限界を突破 次世代省エネデバイス実現へ
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20120613-2/