「放射能から子どもを守れ」マレーシアでも
マレーシアでレアアースをめぐる論争が続いている。
レアアースとは17の希少土の総称で、ハイブリッドカー、フラットスクリーンテレビ、パソコン、携帯電話などのハイテク機器の生産に欠かせない素材。
世界全体のレアアースの埋蔵量のうち、3分の1は中国に集中しているといわれており、現在、世界で消費されている約90%が中国で産出されたものだ。しかし、中国は数年前からレアアースの輸出制限に踏み切っており、それにかわる供給国が必要とされている。
そこで、オーストラリアの資源会社、ライナス社は、マレーシア・パハン州に精錬所を建て、そこでオーストラリア産のレアアースを精錬し出荷することを計画した。
しかし、レアアースの精錬過程では放射性廃棄物が発生し、処理が不十分であれば、放射能汚染を引き起こす。住民たちは「公害を押しつけるな!」と、抗議している。
過去の悲劇はくりかえしたくない
eco-business.comによると、精錬所建設に反対する「セーブマレーシア ストップライナス連合」は、今年初めに、ライナス社の操業権を停止するように科学技術革新省に訴えたものの、科学技術的に公平な主張ではないという理由で却下されたという。
しかし今年、マレーシアでは総選挙が予定されており、これ以上の混乱を避けたい政府は、反対グループを相手に再検討のための公聴会を開くなど、一定の理解も示している。
マレーシアでは過去にも、ペラク州で日本の三菱グループによってレアアースの精錬所が操業されていた。しかし周辺地域で、先天性異常で生まれてくる子どもや白血病を患う住民たちが出てきたことから反対運動にあい、1992年に閉鎖された経緯がある。
ライナス社
http://www.lynascorp.com/index.aspeco-business.com
http://www.eco-business.com/news/