バクテリアによって生成される全く新しいテキスタイル
フランスサイト「consoGlobe」が、モードとテクノロジーの斬新な融合についてレポートしている。今回紹介されているのは、イギリス人ファッションデザイナー、スザンヌ・リー氏による新しいマテリアルだ。
彼女がつくる「カクテル」が「生地の素」になる。レシピはシンプルだ。緑茶と砂糖、そしてバクテリア。そして2週間、生地を「育てる」のだ。
アトリエではなく「実験室」で洋服は生まれる
ロンドンのセントラルセントマーチンズカレッジ・オブ・アート&デザインのモード部門の責任者であるスザンヌ・リー氏は、バクテリアによって生地を生成する新技術を開発し、これを「バイオクチュール」と名付けた。
彼女はこの生地を作るために「紅茶キノコ」を使用する。これは紅茶または緑茶にゲル状のバクテリア、酵母、その他の微生物の培地を漬け込んで発酵させた酸味のある飲み物だ。そこへ砂糖を数キロ混ぜ、溶かし、バクテリアと酢酸を入れる。
そこから先は発酵のプロセスを辿るのみだ。発酵中、バクテリアが砂糖を取り込み、セルロースのナノファイバーを紡いでゆく。それが液体の表層部分に集まり、2週間もすれば皮革状のものが出来上がる。
この生地は裁断、縫製はもちろんのこと、型にあてて加工することも可能だ。生成にはいっさい電力を使用せず、廃棄物も出ない。必要な分だけを微生物に分解させるだけだ。古くなって処分する際も、コンポストへ放り込めば済む。
耐水性に乏しいという一点のみが改良の待たれる部分ではある。しかしながらこの新技術は、テキスタイル産業にとって革命となることは確かなようだ。
consoGlobe
http://www.consoglobe.com/