麻が再び注目されている
海外サイト「consoGlobe」では、持続可能な開発の一端を担う「麻」に注目が集まっているとしてレポートしている。商業用麻(または大麻)の栽培が実に多岐にわたって利益をもたらす、とのことだ。ヨーロッパでは2011年に15000ヘクタールの麻の作付けを行い、中でもフランスの作付けは8500ヘクタールにものぼり、抜きん出て多かった。
麻の用途は実にさまざまであるが、20世紀という石油由来の産業発達のせいですっかりその存在は忘れられていた。もともと我々人間は、ずっと昔から麻の繊維や種(麻の実)とともに暮らしてきたのだ。麻でできた生地は丈夫で軽いので重宝がられ、第二次世界大戦中のアメリカはロープや衣服を製造するために麻のヘビーユーザーであった。フォード・モーター創始者のヘンリー・フォードは、1941年の時点ですでに麻を原料にしたバイオ燃料を発表しており、車体にも大豆の粉と麻のセルロースからなる植物性のプラスチックを用いていた。
※画像はイメージです驚くほど多用途
近年の石油価格の上昇と枯渇のおそれ、従来の建築資材の有毒性、化学物質の廃棄処理の煩雑さ危険さなどから、自然素材である麻の利用が見直されてきている。何よりもまず経済的である。麻の栽培には害虫駆除など手間のかかることは殆ど必要ない。麻を原料としたものであれば、廃棄する際にもそれ自体が自然分解するのでとても環境に良い。
麻の繊維から紙、生地が生産されることは周知の事実である。しかしグラスウールに変わって断熱材としても有用であることはあまり知られていない。化学物質であるグラスウールは取り扱いや処分にも事細かく規定があるが、麻の繊維を利用した資材であれば環境に与える影響ははるかに小さい。また複数の企業では麻の繊維と石灰から作るコンクリート、また麻や亜麻を用いた混合プラスチックの開発にも力を注いでいる。
最後に麻の栽培によるファイトレメディエーションの可能性についても触れている。バイオレメディエーションの一種で、植物を植えることで土壌、地下水、大気などの汚染物質を分解させる方法だ。放射性物質の除去にも有用ではないかとの期待が高まっている。こちらはまだパーフェクトな効果は得られてはいないが、今後の開発に期待が寄せられている。
consoGlobe
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