「16か月後」の日本の意志表示
7月16日に東京の代々木公園で行われた「さようなら原発10万人集会」の模様がフランス各地、各サイトで報道されている。関西電力大飯原発再稼働に抗議するこの集会に日本全国から数万人もの参加があったとして注目を集めている。世界屈指の原発大国であると同時に未曾有の原発事故を経験した国としてその一挙手一投足に世界の視線が集まる。
フランスサイト「Le Point.fr」はじめ各ニュースサイトでは、これら一連の集会は原発に対する日本人の意志表示であるとしながらも、「事故から16か月後」と強調しており、そのままタイトルになっている記事も見受けられた。事故直後から原発に対しアクションを起こしてきたヨーロッパの目には、事故被害国であるはずの日本は「今になってやっと立ち上がった」と映るのかもしれない。
インタビューで見えてくる率直な気持ち
日本の報道に比べてフランスの報道では、デモ参加者の中でインタビューを受けた人たちの個人名をあえて報道し、よりリアルな声としてインパクトが大きい。滋賀県から参加した年金生活をおくるイチカワアキコさんの「自分の子や孫にきれいな日本を残したい」という声や、津波被害の最も大きかった宮城県から参加のマツバラクニコさんの「政府は健康より経済を優先させている。政府が私たちの言うことに耳を傾けるようネットワークを拡大させることが必要」という意見が報道されている。
また、コバヤシサトシさんは二児の父親であり、今回この子たちにも原発の影響を感じて欲しいと一緒に集会に参加した。「原発事故の痕跡はこの地にずっと残る。だからこそこのエネルギーは使ってはいけない」という声が掲載されている。一方では東北大学の学生であるイシダマユミさんの「集会の規模はどんどん大きくなっているがもう一歩踏み込まなくてだめだ。ストを起こしてみるのも一つの方法では」という考えも伝えられた。
日本政府と国民の原発に対する考えの温度差を如実に浮き彫りにしている内容となっている。
Le Point.fr
http://www.lepoint.fr/