エコロジストを襲うリストラ
オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州政府で、環境事務所で働く、350人のスタッフがリストラされ、国立公園内の動物管理、気候変動研究などのプログラムが打ち切られることになった。
自然豊かなニュー・サウス・ウェールズ州には、世界遺産に登録されている自然遺産と国立公園が多数ある。
The Sydney Morning Heraldによると、今回のリストラは環境、遺産管理部門の職員のほぼ12%をカットすることになる。この結果、いくつかの国立公園は従業員不在となり、観光客たちはガイドなしで歩いて回ることになる。ほかにも多数の事業が廃止、事業縮小になる予定だ。
温暖化対策か野生動物保護か?
皮肉なことに、これだけニュー・サウス・ウェールズ州の財政が逼迫しているのは、今月からオースストラリアが導入した炭素税が原因だ。石炭による発電の割合が高いオーストラリア政府は2020年までに5%の温室効果ガス削減をめざし、炭素税を導入することで、電力使用を抑制することをめざしている。
ロビン・パーカー環境大臣は、炭素税の必要性を強調し、「ニュー・サウス・ウェールズ州のリストラは不釣り合いなサービスを見直すものだ」と言っている。
しかし、ニュー・サウス・ウェールズ州は、次の選挙後、炭素税が撤廃されることを望んでいる。炭素税反対派の代表は「国立公園の従業員が不在になれば、野生動物の密猟も起こる。炭素税の導入は偽善的な行為だ」と指摘している。
ニュー・サウス・ウェールズ州
http://www.nsw.gov.au/The Sydney Morning Herald
http://www.smh.com.au/environment/conservation/