「ひとつ」になれない日本
かつてない盛り上がりを見せている脱原発運動。ツイッター上ではデモについての情報交換が活発だ。しかし一方では、デモについての冷ややかな意見や、脱原発は非現実的というツイートも多く、原発が日本を二分していると感じさせる。
こうした折、イギリスの環境情報サイトThe Ecologistが興味深い試算を出した。
「原子力はエコ」の裏側
原発を推進する人たちの主張の一つは、原発は発電時に直接二酸化炭素を排出しないため、気候変動の原因となる温室効果ガスを削減できるという点。
2010年の時点で、世界の一次エネルギーの需要は120億万トン(石油に重量換算した場合)。このうち87%は化石燃料でまかなわれている。原子力は5%、再生可能エネルギーは8%だった。
今後世界のエネルギー需要は1年につき2%増え、今後35年間で現在の2倍の240億万トンになるといわれている。それでも温室効果ガスを削減するには、化石燃料以外のエネルギー供給率を高めなければならない。
仮にエネルギーの3分の2を原子力でまかなうとすると、原発によるエネルギー供給量を現在の25倍に増やさなければならない。
現在、世界では440基の原発が稼働している。単純計算して25倍にするということは、稼働している原発を1万1000基に増やすということだ。1万1000基ということは、35年間、毎日1基、新しい原発を稼働させる計算になる(!)
再生可能エネルギーのほうが現実的
さすがにこれは極端なたとえだ。現在、世界では200基の原発建設計画がある。このうち半分の100基が35年間のうちに稼働するくらいが現実のシナリオかもしれない。しかし同時に、現在運転中の原発が寿命を迎えるため、さほど供給量は増加しない。
これに対し、The Ecologistは再生可能エネルギーの可能性を強調している。2005年から世界の太陽温熱、風力発電のエネルギー供給量は年率25%、太陽光発電は50%以上成長している。このまま成長を続けていけば、原発に頼らず温室効果ガスを削減することも決して絵に描いた餅ではない。
(編集部 野口和恵)
The Ecologist
http://www.theecologist.org/News/news_analysis/1482669