やわらかい光を放つガス燈を撤去し、省エネ型の道路照明を
ベルリンの街には、1950年代に設置されたガス燈が今も現役の道路照明として活躍している。しかし、これら文化財的な価値をを持つガス燈が、ベルリンの街から撤去されることになったとFocus誌が伝えている。
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michael.berlinこれは先日国務長官クリスティアン・ゲルバー氏が、43,500本あるガス燈を、今後5年間で順次最新の省エネ型照明器具に取り替えると発表したことによる。これにより、ランニングコストは年間300万ユーロ、CO2排出量は9200トン削減されることになると、ゲルバー氏は試算する。
戦時中、戦場の兵士たちを慰め勇気づけたガス燈
ベルリン市内のガス燈と言えば、リリー・マーレーンという娘が、歩哨として戦争に行ってしまう最愛の人との再会しましょうと歌った大ヒット曲に出てくるあのガス燈だ。ラジオを通じて連合軍側にも伝えられ、ドイツ軍だけではなく英軍や米軍、ソ連軍にも熱狂とともに受け入れられ、敵味方の兵士たちの士気を鼓舞した。
ベルリン市のガス燈は、1970年代に市がドイツ国内やヨーロッパ各地から集めてきた貴重なコレクションでもある。ランニングコストが高いばかりか月明かり程度の照度しかなく、薄暗くて機能性も低いことは分かっていても、せめて一部だけでも残して欲しいという意見が上がるのは当然のことだ。
現在、エネルギー革命に向かってわき目もふらず突っ走っているドイツだが、同じく生活の豊かさに属する「歴史」や「文化」といった要素との共存の道を見つけることができるだろうか。
Focus
http://www.focus.de/panorama/welt/lili-marleen-muss-sich