再生可能エネルギー供給量の中で最も多く、州の電力需要の8%を賄う水力発電施設
ドイツWelt誌が、ドイツ各地で精力的に進められているエネルギー革命への動きが、生物種保護プログラムを脅かす可能性があるという専門家の警告をリポートしている。
スイスのバーゼル近郊に位置するドイツのラインフェルデンでは、この春先に2匹のサケの遡上が確認され、大きな話題になった。ライン川の水質が改善された証拠だからではない。この2匹が傷つきながらも、数多くの生態回路の設けられていない堰やタービン、水門などを乗り越えて来たからだ。
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timo_w2s流れに対して直角につくられる構造物は、回遊魚にとっては大きな障害であり、死因ともなる。またこれらの施設は、ヤツメウナギやボラなどが生き残るために必要とする水の流れを奪ってしまうのだ。
どれだけ多くの魚がタービンで切り刻まれているかは知られていない
回遊魚の遡上を補助する措置を行なっている水力発電施設は多くて10%、しかも多くの設備が機能していないと、バーデン・ヴュルッテンベルグ州の漁業協会ラインハート・ゾザート氏は語る。
ヨーロッパ中で絶滅の危機に瀕しているヤツメウナギは、しばしばタービンの犠牲になるとのこと。夜間だけでも、回遊魚が移動できるようにタービンを少し高くすれば良いのだが、そこには発電量をめぐっての熾烈な争いがあるのだとゾザート氏。
ラインフェルデンに新たに建設された水力発電所は、従来型の4倍の発電量を誇るばかりではなく、4万ユーロの費用をかけて、生態回路を建設した。春先に2匹のサケが確認された場所である。その成果は上々で、6月には1日平均60匹の魚の通過が確認されている。
しかし、小規模の発電所は、発電量が小さいにも関わらず、環境への負荷が大きすぎるとゾザート氏。彼は1mでも多くの川を残すために戦っていくつもりだ。
Welt Online
http://www.welt.de/newsticker/news3/article108456754/Lachse