メコンの恵みが奪われる?
タイ国内の住民グループは、タイ政府がラオス北部でサイヤブリダム建設を進めていることについて、近く訴訟を起こす考えだ。
サイヤブリダム建設が進められているメコン川には淡水魚が多く生息しており、世界有数の淡水魚の漁場となっている。ダムが完成すれば、メコン川の生態系に影響を及ぼし、漁業を営む貧困層の生活に大きな影響を与えるのではないかと、住民グループは懸念している。
Eco Business.comによると、タイ政府は1995年にメコン川が流れる、カンボジア、ラオス、ベトナムとともに、「メコン川流域の持続可能な開発のための協力」に調印しているという。この合意には、ダムを建設する前に、下流の地域へ与える影響について、事前に十分な調査をすることという要件が盛り込まれている。
また、タイの憲法57条には、環境や国民の生活に影響を及ぼす事業が行われる際には、実施前に影響をこうむることが予想されるコミュニティに対して、説明がおこなわれるべきだと書かれている。
しかし、現在までのところ、タイ国民、また他国で影響を受ける住民たちに対して、いっさいの説明がなされていない。
電力会社も訴え
以上のような点から、住民グループはタイ政府の一連の対応は、国の法令、国際的な合意に反するものだと主張。政府と同様に、サイヤブリダムの水力発電によって生まれる電力の購入契約をしているタイ発電会社に対しても訴えを起こす予定だ。
東南アジアのなかでも、発展の著しいタイだが貧富の差は大きい。電力供給が拡大することによって潤う富裕層、自然の恵みを奪われ死活問題に直面する貧困層との対立が露わになっているようだ。
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