キャッチコピーは、”ヨーロッパのバッテリー”
スイスの連邦エネルギー局のヴァルター・シュタインマン氏が、先日ドイツのシュトゥットゥガルトで行った講演について独紙Stuttgarter Zeitungがリポートしている。
スイスは、ヨーロッパの中央に位置し、高い山と深い谷、それにたくさんの水を有している。すでにヨーロッパの最も重要な水源になっているスイスだが、将来的には、アルプスの山脈がEU圏のエネルギー源として重要な役割を果たすことになるだろうとのことだ。
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chrchr_75スイス政府によれば、現在、スイスアルプスの水力発電施設は13.3ギガワット、揚水発電施設は1.7ギガワットの発電容量を有する。2020年までに、さらにそれぞれ6ギガワットと4ギガワットが拡張される計画だ。
”将来的には、中央ヨーロッパのエネルギー政策の中心的な要素となる” スイス政府
欧州連合(EU)は、2020年までに再生可能エネルギーがエネルギー消費量の20%、電力需要の33%をカバーする事を目指している。しかし問題は、風力や太陽エネルギーといったエネルギー源は、コンスタントに利用可能であるわけではないという点だ。
その点、揚水発電施設は、いつでも需要に対応して発電することができ、供給の穴を埋めることができる。そのためスイス政府は、揚水発電施設が、EUが計画しているエネルギー革命の実現に不可欠なものだと考えているのだ。
”気候保護には貢献しない”、”ロンダリング・エコ電力”との批判
しかし、ここにもまだまだ多くの課題が残されている。この供給システム自体、ヨーロッパマーケット向けに整備されたわけではないため、プラントも送電施設も大規模な拡張工事が必要になる。
さらに、揚水ポンプを動かすために大量の電力を必要とするこの施設は、気候保護という面では何の貢献にもならないという指摘もある。
そもそもこれは、安い夜間電力を原発を有する周辺諸国から購入し、エコ電力としてピーク時に高価で販売するというものであり、”エネルギー・ロンダリング”であるとの批判も上がっている。
Stuttgarter Zeitung
http://www.stuttgarter-zeitung.de/inhalt.energiepolitik