優位性の高いマグネシウム蓄電池
埼玉県産業技術総合センター(SAITEC)は、2016年1月16日、マグネシウム蓄電池の世界初となる実用化に目処をつけたと発表した。
リチウムイオン電池は、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコンなどの小型民生用機器に使用されているが、リチウムの安全性の低さやレアメタルの高価に加え、電池容量がこれ以上拡大できなくなっている。そのため、次世代蓄電池の開発が各所で進められている。
マグネシウム蓄電池は安全性が高く、リチウムイオン電池の2倍以上の大容量化が期待できる点、資源が豊富で地域遍在性がない点に優位性がある。しかし、マグネシウム蓄電池の実用化には、室温での安全性が得られることや繰り返しの充放電で劣化しないことなどが課題だった。
マグネシウム蓄電池の課題を解決
SAITECはマグネシウム蓄電池の開発を進める中で、2014年には開発したマグネシウム蓄電池の正極材料で特許を取得し、NEDOの委託事業で埼玉県内企業と共同で正極材料と電解液の開発に取り組んできた。
今回、新材料を用いた正極と新たな電解液を組み合わせて、安全で長時間使用できるマグネシウム蓄電池の開発に成功した。
このマグネシウム蓄電池は、安全性が高く大容量である上に、室温で安全に使用でき、充放電を繰り返しても劣化が少ないため、今後、小型リチウムイオン電池に替わる可能性をもつ。また、小型民生用機器の市場拡大やウェアラブル機器などの開発に貢献することが期待される。
SAITECは、マグネシウム蓄電池の製品化に向けて電池メーカーや県内の企業などとの開発を進める。
埼玉県 プレスリリース
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