ナタネ油の採用は業界初
東北電力株式会社と北芝電機株式会社は、2016年1月13日、最新の設計と絶縁油にナタネ油を採用した新型配電用変圧器を開発したことを発表した。
電圧の変更に使用される変圧器では、変圧器内部の巻線間や鉄心と変圧器外箱との間を絶縁するために絶縁油を用いる。絶縁油は変圧器に電流が流れたとき、巻線や鉄心に発生した熱を効率よく冷却する。
絶縁油には従来、原油を精製した鉱油を使うが、両社は、CO2削減を図るため、電力業界初のナタネ油を使用した「環境調和型変圧器」を2009年に開発した。
ナタネ油の特性を解析
新型配電用変圧器は冷却性能が向上すると同時に、ナタネ油の特性を解析した結果を設計に取り入れ、電力損失の低減化と長寿命化を実現した。
まず、巻線を太線化して変圧時に消失する電力が15%低減し、放熱器と油タンクの構造の見直しで変圧器内の油量を低減するなど、製造コストが約1割削減した。
巻線絶縁紙に含まれる水分量が多くなると変圧器が劣化する。ナタネ油は吸水力が高いため、変圧器の構造・設計を刷新して定格連続運転での寿命を30年から60年へと延ばすことに成功した。
さらに、変圧器に付設する放熱器を見直し、変電所構内で組み立てていた部品を工場で完成させた後に設置できるようにした。これで、変圧器を設置する期間に要した9日間が約3日間へと短縮された。
今後、東北電力株式会社は、低損失で植物油を活用した新型配電用変圧器を管内に導入する方針である。
(画像はプレスリリースより)
東北電力株式会社・北芝電機株式会社 プレスリリース
http://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1190971_1049.html