従来の排ガス触媒に課題
科学技術振興機構、東北大学 原子分子材料科学高等研究機構、物質・材料研究機構は、2016年2月2日、貴金属やレアアースを使用しない高性能排ガス触媒、ナノポーラスNiCuMnOを開発したことを発表した。
自動車用排ガスに貴金属(プラチナ、パラジウムなど)や希土類元素(セリウム酸化物など)の酸化物が使用されるなど、化学工業分野の触媒研究ではナノ粒子触媒が主流である。
しかし、レアメタルやレアアースは資源量が限られる上に、ナノ粒子が合体して5ナノメートル以上になると不活性化するため、新たな触媒の開発が必要だった。
ナノポーラス触媒の可能性
研究グループは、ナノサイズの多孔をもつスポンジ状のナノポーラス金属の触媒が、ナノ粒子触媒の機能と変わらず、細孔のサイズが30ナノメートルでも触媒活性を保つことに注目した。
まず、合金(銅・ニッケル・マンガン)からマンガンの選択腐食によりナノポーラスNiCuMnO金属複合化合物を開発し、CO酸化・NO還元反応という排ガスの除去反応に活性で、長時間の高温使用に耐える構造をつきとめ、さらに、ナノ構造が触媒反応で引き起こされることを透過電子顕微鏡で確認した。
ナノポーラス触媒の作製は合金粉末を酸に漬ける簡便なもので大量生産に向いている。研究グループは今回の触媒設計指針に基づいて、高性能な自動車排ガス触媒として実用化を目指すと同時に、メタンからエネルギー資源に変換するメタン転換触媒にも応用する考えである。
(画像はプレスリリースより)
科学技術振興機構、東北大学 原子分子材料科学高等研究機構、物質・材料研究機構 プレスリリース
http://www.nims.go.jp/