リサイクル需要増加の見込み
三菱マテリアル株式会社は、2016年3月18日、レアアース磁石のリサイクル需要に対応するため、レアアース回収精製技術を開発したと発表した。
同社グループの5社6工場で処理される使用済み家電製品4品目は年間約230万台に上り、国内シェアの約20%を占める。
主に鉄、銅、アルミニウムをリサイクルし、レアアース磁石は一部の工場でエアコン、洗濯機、冷蔵庫のモーターから回収後、磁石合金メーカーでリサイクルしている。
レアアース磁石を用いた高性能・高効率のモーターは、家電製品の小型化、省エネルギー化に伴い、搭載比率が伸びている。ハイブリッド自動車でもレアアース磁石を大型のモーターに使用するなど、リサイクル需要の大幅な増加が見込まれている。
同社グループでは、リサイクルで回収されるレアアース磁石が10年後には年間数十トンに達すると予測している。
乾式と湿式を組み合わせた工程
レアアース回収精製技術は、廃家電モーター内のローター(回転子)からレアアースを高効率に回収精製するものである。
乾式処理と湿式処理を組み合わせたプロセスを行うため、ローターを加熱して磁力を消滅させる消磁作業が不要となり、ローターのまま磁石を取り出せるようになった。
湿式工程ではレアアース含有スラグが水溶性を発揮し、レアアース全量の濃縮が可能となった。さらに、ケイ酸ソーダの使用で鉄合金の酸化を防ぎ、鉄との完全分離を実現させている。
今後、同社はパイロット試験を経て、新技術の事業化を検討する。
(画像はプレスリリースより)
三菱マテリアル株式会社 プレスリリース
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