最高の出力特性を達成した全固体電池を開発

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2016年3月22日、トヨタ自動車株式会社と東京工業大学の研究グループが、リチウムイオン伝導率が世界最高となる超イオン伝導体を発見し、3倍以上の出力特性をもつ全固体電池を開発したと発表した。

この研究では、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)に搭載する蓄電池の高性能化や低コスト化を図るため、電極・電解質が全て固体で構成された全固体電池の実用化を目指している。

高エネルギー密度化、使用温度域の制限緩和に加えて、有機電解質を固体電解質に置き換えた固体電池は、発火危険性を抑制し安全性の向上が期待される。

従来の全固体電池は有機電解液を用いたリチウムイオン電池よりリチウムイオン伝導率が低く、出力特性が劣ることから、優れた固体電解質材料が求められていた。研究グループは、硫化物材料が超イオン伝導体として高いリチウムイオン伝導率を期待できるため、探索していた。

その結果、これまでのリチウムイオン伝導率の2倍に及ぶ超イオン伝導体を発見した。イオンが固体の中を液体のように動き回る物質で、これを応用したことで、高出力特性とともに、低温・高温での充電受入性や充放電サイクルに対する耐久性に優れた特性が得られた。

全固体電池は設計自由度や安定性・信頼性から電池パックのコンパクト化・軽量化を実現する利点は知られていたが、このたびの超イオン伝導体が有機電解液を上回るリチウムイオン伝導率をもつことで、高速充放電も可能となった。

（画像はニュースリリースより）




NEDO　ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100537.html