コンクリートのCO2排出量削減を模索
大成建設株式会社は、セメントを使用しないことでCO2の排出量を80%削減する「環境配慮コンクリート」を開発し、実施施工に成功した。
(画像はプレスリリースより)
コンクリートのCO2排出量はその90%が製造過程で排出される。そのため、主要材料に混合セメントを使用して排出量を抑制する取り組みが行われている。
これは、セメントの一部に、鉄鉱石の不純物、石灰石、燃料の灰から作る副産物(
高炉スラグ)や発電所のボイラーで石炭を燃焼したときの微粉末の灰(
フライアッシュ)といったCO2排出量の少ない産業副産物を置換する方法だ。
しかし、高炉スラグの場合、仕上がり表面がもろくなるアブサンデン現象が生じる可能性があり、多量に使用できない。加えて、冬季、夏季には施工中に硬化や強度の発現遅滞やひび割れの発生もまぬがれない。
セメントを使用しないコンクリート
大成建設は、構造物に必要な性能をもちながら環境負荷を低減するコンクリートの開発を目指し、高炉スラグなどの置換率を研究。その過程で、高炉スラグの硬化の促進に用いられる刺激剤に着目した。
刺激剤の材料の配合を改良した結果、セメントを使用せずに高炉スラグに全置換できるコンクリートを開発。アブサンデン現象や夏季、冬季の施工安定性の課題も克服した。
2013年に同社技術センター建設ICT実験棟(2月)とJFEスチール東日本製鉄所京浜地区圧延工場(8月)にそれぞれ実施適用したところ、夏季、冬季施工ともひび割れを生じず、硬化、強度発現でも問題のない、優れた施工安定性が確認できた。さらにコンクリート製造に由来するCO2排出量は約80%削減。
同社は今後、構造物の特徴や材料の供給体制を考慮しながら、エネルギー問題や地球温暖化問題に貢献する環境配慮コンクリートの使用を提案していく方針だ。
大成建設株式会社プレスリリース
http://www.taisei.co.jp/