固体酸化物燃料電池
岡山大学大学院環境生命科学研究科と岡山県農林水産総合センター畜産研究所の共同研究グループは、畜産由来のバイオガスを燃料とする固体酸化物燃料電池(SOFC)で、バイオガスからの炭素析出を抑制することに成功した。
SOFCは固体電解質を用いた燃料電池で、単独の発電装置としては高発電効率で知られる。発電素子は全て固体で構成され、高温で稼働するため、作動温度の低温下が望まれている。
炭素析出を抑制
岡山大学は中温作動型SOFC(作動温度800度以下)の構成部材やメタン改質触媒を開発研究し、畜産研究所はメタン発酵によるバイオガスの製造を手がけてきた。
両者は5年前からバイオガスを燃料とする中温作動型SOFCの開発に取り組み、豚糞尿のメタン発酵で製造したバイオガスを50%以上の高効率で利用することを目指している。
SOFCを開発する場合、バイオガスからの炭素析出が問題になる。共同研究では、炭素析出を抑制する触媒の組成を決定した上で、改質装置とSOFC発電性能評価装置による評価を行った。
先行研究では、空気を混合したバイオガスを直接燃料として単セルの発電試験を行った結果、作動温度800度で800時間の発電に成功した。今回は、改質バイオガスを燃料としたところ、作動温度は約200度低い600度でLED電球が点灯した。発電の時間は約4時間、炭素析出はほぼなかった。
この研究結果から、炭素析出の抑制でバイオガスを燃料とした中温作動型SOFCが実現可能だとわかった。今後、触媒や燃料極(負極)の改良でその実現が見込まれる。
畜産由来のバイオマス資源を用いるSOFCは二酸化炭素の排出量の
削減に貢献する。中温作動型SOFCの実現で分散型電源が充実すれば、再生可能エネルギー源の高効率利用が期待できる。
(画像はプレスリリースより)
岡山大学プレスリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id257.html