酸素燃焼技術
電源開発株式会社は、株式会社IHI、三井物産株式会社と参加した日豪官民共同事業「カライド酸素燃焼プロジェクト」の酸素燃焼実証運転を完了した。
実証運転では、火力発電所実機において酸素燃焼とCO2液化回収の一貫プロセス技術を実施し、その運用性や信頼性を検証した。
1973年に日本で発案されたこの酸素燃焼プロセスの技術は、小規模プロジェクトでは日本、米国、英国、欧州で実証済みだったが、石炭酸素燃焼プロセスが事業用ボイラに適用されたのは同プロジェクトが世界で初めてとなる。
カライド酸素燃焼プロジェクト
日豪官民共同実証事業には、豪州のクイーンズランド州営電力会社の他3社と日本の3社が参画し、2008年にJVを設立した。
プロジェクト予算の約2億4,500万豪ドル(約228億円)に対して日本政府(経済産業省)と豪州連邦政府、クイーンズランド州政府が資金援助し、一般財団法人石炭エネルギーセンター(JCOAL)が技術支援をしている。
豪州クイーンズランド州のカライドA石炭火力発電所で、2012年6月~2015年3月上旬に酸素燃焼ボイラを運転し、2012年12月~2015年3月上旬にCO2液化回収を含む酸素燃焼プロセスを操業した。この実証運転で、酸素燃焼運転10,000時間、CO2液化回収装置の運転5,500時間の目標値に達した。
2014年10月~12月に酸素燃焼プロセスで回収したCO2をビクトリア州に搬送し、地下深部への圧入試験を行った。CO2回収量は75トン/日で、これは全排ガス量の約11%に当たる。
今後は、石炭火力発電所にこの技術を導入して、CO2をはじめとした大気汚染物質のSOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)、水銀などがほとんど発生しないニアゼロエミッション発電の実用化を目指していく。
(画像はプレスリリースより)
電源開発株式会社プレスリリース
http://www.jpower.co.jp/