腐葉土層の除去が必要
清水建設株式会社は、福島県内のセシウム汚染地域で腐葉土層を効果的かつ限定的に除去する「SCクリーンシステム」を開発した。
2013年度から森林の除染範囲が拡大し、家屋から20メートルに加えて、道路沿いの森林は路肩から20メートルとなった。
森林のセシウムを除染するには、落葉などの有機堆積物を除去すればよかったが、腐葉土層の空隙にセシウムが徐々に浸潤していったため、現在は、腐葉土層そのものの除去が必要になっている。
この場合、「元の環境を復活する」という除染の趣旨は守られない。腐葉土層を削り取ると植生の根が断ち切られ、下層にある鉱物土層が流失し、森林自体が荒廃しかねないからだ。
SCクリーンシステム
同社が開発した「SCクリーンシステム」は、腐葉土層などの空隙が多く、セシウムがより浸潤している範囲に限定して除去できるシステムだ。
仕組みは、腐葉土層を風速200~300メートル/秒の高圧エアでほぐし、ほぐれた土壌を吸引により回収後、除去土壌を土のう袋に詰め込むというもの。この働きをエア噴付装置、回主装置、分別装置が行う。
この方法だと、空隙がない鉱物土層をほぐさず、また、植生の根も切断されずに腐葉土層のみの除去が可能となる。ほぐれた土壌は回収されるため、汚染土壌の拡散も防げる。必要最小限の除去で、除染効果は腐葉土層を削り取ったときと変わらない。
システムには2トン吊りクレーン装置が付き、2トントラックで運搬できる。
同社は福島県双葉郡広野町の除染工事でシステムの効果を実証した。今後は、各地での森林除染に活用する予定だ。
(画像はプレスリリースより)
清水建設株式会社プレスリリース
http://www.shimz.co.jp/