安全性の高いSCiB
株式会社東芝は、リチウムイオン二次電池「SCiB」を採用した蓄電システムによる架線レス走行試験を行った。
これは、鹿児島市交通局が所有する1000形の路面電車に蓄電システムを搭載して実施したもの。架線からの電力供給を停止し、蓄電池が供給する電力のみで、鹿児島駅前停留場から郡元停留場までの往復約10キロメートルを走行した。
SCiBは10,000回以上の充放電ができる長寿命や摂氏マイナス30度に耐える低温性能などの特性をもつ。また、外から圧力が加えられた場合、電池内部での正極、負極の接触による温度上昇が起き、異常発熱や発火の原因になることがあるが、チタン型リチウムの使用で安全性の高い構造を実現している。
路面電車の可能性を広げる架線レス
今回の走行試験では、車両の照明や空調の電源用に変換する補助電源装置につないで充電器を小型化したことで、蓄電システムの省スペース化を果たした。その結果、蓄電システムの設置場所も従来の車両の床下から座席の下へと変更でき、既存車両への搭載が可能になっている。
さらに、この蓄電池システムの導入で、架線を設置できない都市景観保護地域や交通の妨げになる交差点などでの架線レス走行、停電時での自力走行が可能になる。また、延伸する路線に新たな架線を引く必要がない、などのメリットが期待される。
(画像はプレスリリースより)
株式会社東芝 プレスリリース
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