拡大するE-Scrap市場
三菱マテリアル株式会社の金属事業カンパニーは、直島製錬所の設備を増強し、金銀滓(E-Scrap)の受け入れ・処理能力を拡大することを発表した。
約50億円をかけて増強する設備は、受け入れサンプリング設備、分析設備、処理設備などで、2016年4月の完工を予定している。これにより、同製錬所の能力は現在の年間約8万トンから約11万トンに拡大され、世界最大規模となる。
E-Scrapは家電や電子機器(パソコン、携帯電話、通信サーバー)の廃基板を破砕して発生するもの。金や銀、銅、パラジウムなどの有価金属を高濃度に含有し、製錬原料の供給源となるため、都市鉱山とも称される。
世界的な環境意識の高まりを受けて、家電をはじめとするリサイクル率の向上と共に、E-Scrap市場も拡大している。
三菱連続製銅法
直島製錬所は、業界一の環境負荷低減率を誇る有価金属精錬技術の「三菱連続製銅法」を保持している。S炉(熔錬炉)、CL炉(錬かん炉)、C炉(製銅炉)、精製炉を樋(とい)でつなぐことで、一連のバッチ(回分)操業法が連続化される手法。
設備がコンパクトになるため、省エネルギー、低コストを実現した。さらに、各炉間の移動で漏れていた亜硫酸ガスの漏煙を防止でき、無公害システムとなっている。
同製錬所のE-Scrapの処理量は2010年度には約3万トンだったが、段階的に受け入れ・処理の能力を広げてきた。
また、同社はE-Scrapの受け入れ体制の整備、強化にも取り組んでいる。2014年5月にE-Scrapの受け入れ手続きにWEB予約システムを導入し、同年6月には米国三菱マテリアル内にリサイクル事業部門を開設した。
今回の設備増強でE-Scrapの処理量の一層の増加を目指していく考えだ。
(画像はプレスリリースより)
三菱マテリアル株式会社 プレスリリース
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