実証事業を締結
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、マレーシア・パハン大学と、廃水から有用金属を回収する技術開発を共同で開始することに合意して、基本協定書(MOU)を締結した。プロジェクトは「金属廃液・汚泥から有用金属を回収し、汚泥を削減する研究開発・実証事業」。
マレーシアは、工場が排出する廃液や汚泥の問題を抱えている。埋め立てる土地が不足し、処分費用も高額化しているためだ。
同事業は、NEDOの国内プロジェクトで株式会社アクアテックが過去に開発した技術が、同国の環境問題の解決に適用可能かを実証し、普及させる取り組みとなる。
実証事業はNEDOより委託された同社がマレーシア・アコット社と協力して実施する。事業費は1.9億円、期間は2015年度となっている。
新硫化物法を開発
工場の排水は環境基準値以下の有害金属を除去した上で河川に放流されるが、めっき工場などのように廃液や廃棄物に金属が含まれている場合、金属資源として回収、リサイクルする必要がある。
排水の含有金属を汚泥状態で分離する水酸化物法が一般的だが、金属汚泥には含水率の高さに比して金属量が少なく、複数の金属が混合しているため、リサイクルに適さず埋め立て処分されている。
金属の回収量を大きくする硫化物法は、添加する硫化剤が有害な硫化水素ガスを発生するため普及しなかった。
株式会社アクアテックはNEDOプロジェクト(2009~2013年度)で、硫化水素ガスの濃度をリアルタイムで測定し、硫化剤の添加量を制御する「新硫化物(NS法)」を開発した。
これを水酸化物法などと組み合わせると、廃液、汚泥からニッケルは99%以上の純度で、有用金属は80%以上回収できた。廃棄する汚泥量は水酸化物法より80%削減した。
(画像はプレスリリースより)
NEDO プレスリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100401.html